うしとら旅巡り

旅と「うしおととら」が好き。

里に降る雨~伊万里・大川内山①~

3月某日。旅日和。
うしとら旅のよいところは、目的地が複数あるところ。
その時の気分でぽんと飛んでいけばいろいろなものと出会えます。

(1日目)
羽田空港から福岡空港まで約2時間。
福岡空港国内線のバスターミナルからは昭和バスが運行する「いまり号」が出ています。
福岡空港佐賀県伊万里駅間は高速バスで約2時間。
札幌ーえりもが約4時間でしたので、単純に考えれば半分の距離になるのでしょうか。

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ビルが林立する福岡市街から離れるにつれて海や山が多くなり、街灯も減っていきます。
山を抜けてぽんと集落の明かりが見えて、また再び暗くなっていく様は、えりもに向かう道にも似ていました。
しばらく夜の町を走ってJR伊万里駅前に到着。
まさに焼き物の町という風情です。

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(2日目)
お宿を早めに出たものの、バスの時刻までだいぶありました。

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待機時間で周辺を散策。

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伊万里市街を流れる伊万里川にはいくつかの橋が架かっており、駅前通りを直進していくと「相生橋」に行き着きます。
観光案内によれば、「相生橋」「延命橋」「幸橋」の三つの橋を順に渡ると御利益が得られるとのこと。

相生橋:むかし。橋のたもとに、夫婦松のように仲良く並ぶ2本の松の木があったことに由来します。
相生(相老)とは、夫婦が仲良く連れ添って長命であることを示します。
夫婦、恋人が一緒に渡ると、終生仲睦まじくなれるとのこと。

・延命橋:むかし。橋のたもとに、延命地蔵があったことに由来します。
延命地蔵尊とは、新しく生まれた子を守り、その寿命を延ばす御利益があるとされたお地蔵様。
健康を祈念しながら橋を渡ると、長寿の御利益が得られるとのこと。

・幸橋:読んで字のごとく、幸いを願う橋ですね。

…この説明書きだけで、まさにあの話の舞台だなぁと思ってしまううしとら脳。

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川沿いには白い塀が続き、古伊万里や鍋島の色絵を再現したレリーフが飾られていました。

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上に載せた写真はすべて鍋島です。きれいですね。
本物は更にきれいです。

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伊万里?鍋島?一体なんぞや。
せっかくなので説明書きを覗いてきました。
伊万里駅松浦鉄道側)の2階には伊万里・鍋島ギャラリーがあり、所蔵品が展示されています。
www.city.imari.saga.jp/6969.htm

(こちらは撮影不可となっています。上記の写真は撮影OKな佐賀県立九州陶磁文化館で撮りました)

・有田焼:佐賀県・有田で作られた焼き物のこと。
秀吉の朝鮮出兵の折、多くの陶工たちが佐賀県に渡り、国産の磁器の生産が始まりました。

伊万里焼:有田・伊万里の焼き物全般を指します。(今は伊万里で焼かれたものを指すようです)
窯元で生産された磁器は伊万里の港から全国・海外に輸送されていました。
       (…天津甘栗みたいですね。天津は甘栗の産地ではなく輸出港の名前です)

古伊万里:江戸時代に焼かれた伊万里焼のこと。

・鍋島:江戸時代。佐賀県を統治していた鍋島藩が、将軍家や諸大名への献上品として特別に作らせた古伊万里のこと。
採算度外視、藩の威信をかけて作った特注品なので、完成度が非常に高く美品揃い。

…そしてその秘窯が作られた場所が、外伝の舞台である「大川内山」というわけです。

大川内山の公式サイト。そして地図。

伊万里鍋島焼協同組合へようこそ! 秘窯の里 伊万里大川内山と窯元の紹介

http://www.imari-ookawachiyama.com/access/ookawachi_map.pdf

伊万里駅から路線バスで約15分。
伊万里と有田の境にある、山に囲まれた里に着きました。

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作中に描かれていたバス停は丸にポールがついた形でしたが、さすがに20年以上も経てば形も新しくなるようです。

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バス停・駐車場と里を結ぶ橋には陶板の竜が。

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伊万里鍋島会館前には陶板の地図があり、そこから続く通りをまっすぐ行くと、道が二手に分かれています。

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看板に沿って左手方向に進むと、権現岳神社に行き着きます。
民家が並ぶ裏通り。ゆるやかな坂道です。

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9月の頃。雨の日。鳥居の前に須磨子さんが立っていて、坂道を下ってきた紫暮さんと出会います。
「里に降る雨」冒頭の舞台です。

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山に囲まれているためかウグイスの声が聞こえてきます。
作中には小鳥の描写がありますが、本当に小鳥が多いです。動きが機敏ですぐに飛んでいってしまうので写真に撮ることはできませんでしたけれど。

権現岳神社は里の氏神様で、のどの神様でもあるとのこと。
(なぜ喉なのでしょうね。窯のすすで喉を痛める人が多かったのでしょうか)
ということで。
登ります。

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少し登るとバス停が見えます。

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登ると上にもう一つ。途中林道を抜けると更にもう一つの鳥居が見えてきます。
脇には山の水が流れていて、飲むことができます。
生水なので一口でやめておきましたが、甘くて冷たくておいしかったです。

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登ることに夢中で写真を忘れたので。道のりはこんな感じです。
左右は林。右側に手すりが設置された石段が続きます。

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到着。

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昔の方は本当に神秘的な場所を見いだしますね。|ω`)
崖の中に埋まるようにして拝殿と本殿が造られています。

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里に降る雨~伊万里・大川内山②~に続きます。