うしとら旅巡り

旅と「うしおととら」が好き。

西の国・高千穂へ②

(2日目・夜)

高千穂神社の神楽殿では20時から約1時間、夜神楽が奉納されます。

夜神楽は高千穂地方の村に伝わる氏神様のお祭りです。
「祈りと伝承の里 高千穂の夜神楽」という本によれば、収穫への感謝を込めた秋祭り・冬至前後に太陽の復活を祈る鎮魂儀礼としての冬祭り・来る年の五穀豊穣を願う余祝の春祭りの意味合いをもっているそうです。
里ごとに氏神様を神楽宿を呼ばれる家に招き、夜を徹して三十三番の神楽を奉納します。

本来は11月半ばから翌年2月にかけて集落ごとに行われる夜神楽ですが、こちらの神社では観光向けに「手力雄」「鈿女」「戸取」「御神体」の4つの舞いを演じています。

拝観料は700円。19時から受け付け開始。

広々とした畳部屋。

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舞台は二間四方の神庭(こうにわ)。
陰陽五行(木火土金水)や太陽と月、鳥居や干支などを刻んだ彫り物(えりもの)とよばれる切り紙がしめ縄と一緒に飾られています。

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自然と、「結界」という言葉が浮かびます。
舞いを踊る踊り手はお辞儀をしてから中って踊ります。

「手力雄」は、天岩戸神社の伝承で、天照大御神が隠れた岩戸を手力雄が探すところを示しています。
場所の見当をつけてから、今度は「鈿女」が踊りを披露し外の騒ぎをいぶかしく思った天照大御神が戸を開けるように誘います。
そこをすかさず「戸取」。真っ赤なお面は手力雄が力む姿を現しています。

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さて。4つ目の舞いは趣が全く違います。
神主さんがマイクを片手に丁寧に説明します。

「夜通し演じておりますとちょうど夜中の2時頃が一番眠くなる時間帯。神様もそうです。この舞いは、イザナミイザナミが互いに思いやりの心を示し、夫婦円満、子孫繁栄…」
つまり。そういう意味を含みます。

演じられる内容は、夫婦神がお酒を造り、互いに飲み干して酔っ払い抱擁するというもので、「大人向けの部分はカットしておりますのでどうぞご安心ください」とのこと。
男神が女神のたすきを結んで整えたり、酔って寝入った男神に枕を当てがう仕草に思いやりの部分が見いだせます。

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仲の良い夫婦神ですが、いい男、いい女が観客に居ますと「あらまぁ」と言わんばかりのしぐさを示し、その手を取って誘います。
で、もう片方が嫉妬して観客を叩いていくわけです。
「叩かれると福がくる。頭を叩かれると頭の病気にならない」
ということで、叩かれる側も見ている側もおおいに盛り上がっておりました。
鈿女の舞いに神々が喜び、騒ぐ様をいぶかしく思って戸を開けて外を覗くという神話は、人間というものを突いた話なのかもしれません。

夜神楽の余韻にひたりながら、せっかくなのでと高千穂峡へ。
ヘアピンカーブ付近になると外灯がないので道路は真っ暗。
ミニライト片手に夜道を行って、ライトアップされた滝を眺めて戻りました。

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(3日目)
始発のバスで延岡へ。
延岡から宮崎空港へ。

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宮崎空港ではからくり時計を堪能し、日向夏の生ジュースとガンジスカレーをいただきました。
九州は、食べ物が美味しいところですね。
駆け足のプチ旅でしたが、とても楽しかったです。