西の国・高千穂へ①
ひさしぶりにうしとらの旅。
(1日目)
7月某日宮崎県へ。
この日は台風12号が鹿児島付近に停滞しており、宮崎空港は視界不良。
戻ることになったら陸路かな…と適当なことを考えながら西の国へと飛び立ちます。
あやかしの海(伊豆沖)の上を行き…。
しっぺい太郎(磐田市)の舞台を通り…。
寝ている間に無事到着。
5分遅れくらいだったので、予定の電車まで一走り。
宮崎県を北上し、延岡駅に向かいます。
延岡。
うしおととら第三十四章「西の国・妖大戦」・其の四。
瀬戸内を越えて九州沿岸に到達した際、「県(延岡)の灯りだ」という台詞があります。
「県(あがた)」というのは室町時代の延岡の呼称。とらが封印された時代ですので、来たことがあったのかもしれませんね。
今は工業都市となっており、日本の夜景100選のひとつになっています。
駅前から車で20分。
愛宕山展望台から見た景色。この先が海になります。
(2日目)
延岡駅前からバスに乗り、高千穂バスターミナルを目指します。
路線バスは約2時間、高速バスは約1時間。
高速バスは予約制で空席があった場合のみ乗車できます。
*注。
宮崎交通に確認したところ、短区間(延岡→高千穂含む)は予約不可とのことでした。
高千穂は宮崎県と熊本県の境に近いため、宮崎空港を起点とするよりも熊本空港+高速バスの方が早いようです。
高千穂バスターミナル到着後は、隣接するタクシー乗り場へ。
(写真は翌日早朝のものです)
到着時刻は8時半頃。チェックインは15時以降。
宿泊先から高千穂峡まで徒歩圏ではありますが、初めての土地なのと岩戸地区と国見ヶ丘にも行きたかったので、観光タクシーAコース(3時間)で、天岩戸神社・天安河原・高千穂神社・高千穂峡・国見ヶ丘を巡りました。
・天岩戸神社
社名の通り、天照大御神(太陽神)が姿を隠した「あまのいわと」を奉る神社。
鳥居の横には天力雄神の像があります。
・天安河原
天岩戸を開くために八百万の神々が集って知恵を出し合ったとされる場所。
天岩戸神社から徒歩10分。沢にそって歩いていくと大きな洞窟が見えてきます。
いつのころからか訪れた人による石積みの慣習?ができたとか。
神域と俗世の境のような不思議な空気を纏っています。
水と緑が綺麗な場所です。
・高千穂神社
天照大御神の子孫を奉る神社。
境内にある神楽殿では高千穂に伝わる夜神楽を毎晩奉納しています。
大きな杉の木がたくさんあります。
写真は源頼朝の代参が手植えした杉(樹齢800年余り)。
・国見ヶ丘
標高513m。高千穂を望む雲海の名所。
古代の王族がここに登って一望したという伝説に由来します。
さて。
作中で描かれていた場所を紹介します。
うしおととら第三十四章・其の参の冒頭部分。
「西の長―神野のいる、高千穂屋敷へ」。の台詞が描かれているページ。
九州の地図の下のコマに雲海に浮かぶ山々があります。
「国見ヶ丘」です。
雲海の見頃は9月中旬~11月初旬の早朝で、時間はおおよそ4時前後。快晴無風の冷え込んだ日。
当然ながら雲海はなく切れ切れの雲が浮かぶばかり。
せっかくなのでパネルと一緒に。
タクシー観光のプランにも朝日を見に行くコースがあります。いつか見てみたいですね。
次は、雲海の右下のコマ。
田んぼの風景ですね。
高千穂空屋敷の下の森には道路が通っていましたし、妖怪と人の世界は意外と近いのかもしれません。
国見ヶ丘の伝説によれば、下界を覆う雲を散らすために稲の穂を撒いたとか。
手千穂が高千穂に転じたという説もあるみたいです。
高千穂は棚田も有名です。
高千穂にはどこか懐かしい空気があり、遠野に似た雰囲気を感じます。
次は、下段中央のコマに描かれている渓谷にかかる2つの橋。
これは高千穂峡の遊歩道、槍飛橋近辺から見た景色です。
木に隠れている橋は神橋、一番目立つ橋は高千穂大橋と言います。
あれ?漫画では2つだけれど、写真では3つある…?
一番奥で斜めに見える橋は神都高千穂大橋といい、2003年に完成しました。
うしおととらの連載中にはまだなかった橋なのですね。
観光協会のHPには川を含む写真が載っています。
高千穂三段橋 | 観光スポット | 高千穂町観光協会 | 宮崎県 高千穂の観光・宿泊・イベント情報
ちなみに。槍飛は獣の槍のことではなく、落ち武者たちが槍をついて飛んで渡ったとされる場所です。
高千穂峡で一番狭まっている場所ですが…。
さらりと怖いことが書いてあります。
角度によっては狭いように見えて、けっこうな幅と高さがあります。
その次のコマにある大きな滝は、真名井の滝と思われます。
落差17m。高千穂峡にある滝です。
手漕ぎボートを利用すれば滝の近くまで行けるのですが、ここ数日の大雨でボート乗り場は水没していました。
高千穂は自然豊かで散策していて楽しいですね。
あちこち飛び飛びで移動したので、高千穂散策マップのURLを貼ります。
http://takachiho-kanko.info/data/guide/image/pdf_1461842931_4.pdf
一通り回ってお昼時。まだまだ時間が残っているので、宿泊先に荷物を預けて今度は徒歩で高千穂峡へ。
道沿いには夜神楽の像が立っています。
山の間の車道を行きます。すごいヘアピンカーブですね。
高千穂峡が見えてきました。
日形・月形と呼ばれるところ。
岩壁の上に半月のように見える部分があります。
よく見ると、岩の表面ではなくて隙間から水が流れ出ています。
清水が流れ込む小さな池には錦鯉とニジマスと…チョウザメが泳いでいます。
調べてみると、昔ロシアから輸入して養殖を始めたみたいですね。
形はサメに似ています。100円で売られている餌を投げ込むと、水底を探って食べていました。
バス停、タクシーの乗降場には売店と食事処があります。
渓谷沿いに整備された遊歩道を歩いていくと槍飛、神橋まで行くことができます。
日御碕でみたものよりも一つ一つの柱が大きい。
高千穂峡を後にしてお宿に戻ってチェックイン。
夕食まで時間があったので、今度は逆方向を散策します。
ここにも夜神楽の像があります。
くしふる神社に到着しました。
こちらは山の上にあった社を人里におろした神社になります。
木に包まれた静かな場所。
手水場から左に入って天真名井まで行ってみます。
天真名井は、大きな欅の木の下から水が湧いているという不思議な場所。
異界への入り口は身近なところにあるようです。
せっかくなのでもう少し。
道路に出て右方向。しばらく歩くと荒立神社。
ここにも神楽殿があります。
山の入り口には御祭神。
天狗に似た風貌ですね。
…東の長は天狗でしたが、西の長は何ものなのか。
東西の長のモデルになったのは、「稲生物怪録」に登場する山ン本五郎左衛門と神野悪五郎と思われますが、正体については不明なままです。
束帯という姿を見ると何かしらの神格がありそうですが、単に稲生物怪録に描かれた人物(実際は神野ではなく主人公・平太郎の氏神らしいのですが)の姿を写しただけかもしれません。
もちろん勝手にそう思うだけで、正解は作者のみぞ知るところ。
土地神と一口にいっても、いろいろなものがいるようです。
写真は高千穂商工会の近くにあった鬼八塚(首塚)。
高千穂に伝わる鬼八は、祀ることで霊験を示す祟り神のような存在でした。
体を分けて葬る、石を置いて封印、というのは妖怪相手にも当てはまりますね。
御霊信仰というのでしょうか。妖怪と祟り神の境は祀る人の有無かもしれません。
そんなことを考えながらぼちぼちとお宿に戻り、部屋でこっそり記念撮影。
夕食をいただいて、夜神楽拝観に出かけました。
高千穂②へ続きます。