うしとら旅巡り

旅と「うしおととら」が好き。

えりも~旭川②

(2日目続き)

JR北海道バス・広尾線の終点です。
昔は帯広から広尾まで電車が通っていたそうですが、今はバスのみとなっています。
ちなみに広尾は「サンタの町」とのことですが、どうしてそうなったのか。
こちらに記事がありました。

冬にオススメ・広尾町観光ガイド!サンタランドと毛ガニ祭を楽しもう | ぷるnavi

ノルウェー国外初、日本唯一の「サンタランド」があるそうです。

札幌から広尾まではJR北海道バスによる、「ひろおサンタ号」という高速バスが1日1便走っています。

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昔の駅の名残。

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JR北海道バスとお別れして、今度は十勝バスが運行する路線バスに乗車します。
バス停前の券売所に寄って、先に乗車券を買いました。
(その方が下りる時に便利だよ、と窓口のおばさまに教えていただきました)
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窓口のおばさまとバスの運転手さんの会話が、うしおととらの中に出てきた旅館の女将と運転手さんの姿に重なります。
いつもの日常風景、という雰囲気になごみました。

そして、約2時間15分の路線バスの旅再開。
北海道、広いよぅ。

帯広駅に到着したのはちょうどお昼時でした。

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次のバスの時間まで、駅周辺を散策します。

駅構内に展示されていた鉄道関連のパネル。
青函トンネル開通時の様子や、北斗星の表示、古い路線図などがありました。

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さて。本日の旅の後半戦。
高速バスに乗車します。
北海道バス、拓殖バス、十勝バスが運行する、ノースライナー・三国峠経由です。
ノースライナーには狩勝峠経由・三国峠経由の2路線あり、狩勝峠経由は1日3便、三国峠経由は1日1便。
大雪山国立公園内を通るのは三国峠経由です。

詳細はこちら:

https://www.tokachibus.jp/pdf/toshikan/north201806.pdf

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ここからの写真は窓越しに撮影したので、青色が重なっています。

*車内案内によりますと、最近音によるトラブルが多発しているそうです。
手持ちのデジタルカメラは操作音無音、フラッシュなしに設定した上で、運転席側の前方席に座り他の乗客の方に向けないようにしています。

さあ、ノースライナーに乗って所要時間3時間45分のバス旅が始まります。

農地、白樺、また農地。広くて見ていて気持ちがよいです。
場所は違いますが、香上&片山さんも言っていましたね。道路が広くていいねぇと。
まっすぐです。そして交差点や町に行きつくまで、信号機がありません。
十勝・帯広の風景は、「うしおととら」というよりも、荒川弘さんによる「銀の匙~Silver Spoon~」の世界です。

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農地、町、農地。標識にある「ぬかぴら温泉郷」は糠平湖の近くにあります。
しばらく行ってようやく左手側に山が見えてきます。

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TVのニュースは台風21号。
札幌の公園で根こそぎ倒れた木があったそうです。
バスは粛々と走ります。周囲は山に変わりました。

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大雪山国立公園は、うしおととら第二十章「追撃の交差~伝承者」に登場します。
伝承候補者の選からもれた4人の僧と杜綱純、そしてイズナと出会い、伝承者の一人である杜綱悟の体内で婢妖・血袴と戦ったあの場所です。
そして第二十三章「暁に雪は消え果てず」の中でも、サンピタラカムイが「雪女の暮らす里がある」と再度地名を出していました。

指定区域は、川東郡(士幌町上士幌町鹿追町)、上川郡(新得町、上川町、東川町、美瑛町)、空知郡(上富良野町南富良野町)、富良野市。総面積は226.764haにも及ぶそうです。

…神奈川県とほぼ同じとは。スケールが違います。

大雪山系の山、登山については、こちらのサイトに紹介があります。:

大雪山|雄大な大自然を感じよう!レベル別おすすめ登山コース5選|YAMA HACK

余談ですが、大雪山に属する層雲峡という場所は日本で一番早く黄葉を見ることができるそうで、その近くにある黒岳では今年8月17日に初冠雪!を記録しました。雪妖たちが住処とするのにふさわしい場所ですね。


バイクの速度はわかりませんが、実際に巡ってみると、えりも~黄金道路~広尾は1時間。広尾~帯広で2時間でした。
路線バスとはいえ、ほぼノンストップで走ったので、観光バスがえりも岬を出たのが10~12時前後と仮定すると、帯広近郊を通過したのは13~15時頃となるわけです。そこから先は山越えですから、夕暮れ前にしたくを整えて無理せず休憩したのかな…とも思います。
途中にある町を外れて野宿したのは、婢妖を警戒してのことでしょう。
もしかしたら、周囲の人を巻き込んだことを後悔している潮君を気遣ったのかもしれません。
あくまで個人の想像ですが。

とこどどころに沢が見え始めました。
上士幌バスターミナルとぬかぴら温泉の間…と言っても、一つの区間が長すぎてどのあたりなのかはわかりません。
ただ、大雪山国立公園の中に入ったことは確かです。

上士幌交通ターミナルを過ぎると、道沿いに沢が見えてきます。

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禊ができそうな場所は至るところにあります。|ω`)
逆に、杜綱さんが落っこちたような崖っぷちを見つけるのが大変。

作中では途中で砂利道を通っていましたが、側道があるのかと思えばそうでもなく…でも、一般人立ち入り禁止の道路管理用の砂利道ならば道中何か所かありました。側道に逸れたのでしょうか…?
気になったので調べてみると、1994年までは三国峠頂上付近が未舗装となっていたみたいですね。

こちらの方のサイトに1990年、1992年頃の三国峠の写真がありました。

三国峠1

ということは、うしおととら連載中はまだ未舗装だったということに。
純さんたちと遭遇したのは、三国峠付近だったのでしょうか。

撮った写真を並べてみます。

糠平ダム。(道内4位の水量を持つ水力発電専用ダム)

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糠平湖。(昭和30年に糠平ダム建設のために作られた人造湖。面積8.2㎢、周囲34㎞、水深70m)

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ぬかぴら温泉。(宿泊施設、日帰り入浴施設を備えた温泉郷

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行先が「五の沢」に表示が変わった後、「旭川129㎞」と書かれた道路標識を見つけました。
そしてぬかぴら温泉側の休息所とトイレ。

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三国峠です。

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こちらの方は撮り損ねましたが、頂上付近にも1か所、休憩所とトイレがあります。
ただ、先に載せたサイトの方の記事を見るに、このあたりはだいぶ様変わりしてしまったようですので、今とはまた違う場所に休息所があったのかもしれません。

旭川まで129㎞・三国峠まで34㎞・糠平湖まで3㎞」の地点で野宿をしたならば、写真の通り、野宿場所は糠平湖、ぬかぴら温泉を3㎞ほど過ぎた山間ということになります。
そこから34㎞移動して、三国峠に向かう途中で純さんたちと遭遇。
鏡を通じて雲外鏡のおんじ、東の長と対話した「お休み処 ドライブイン」は、三国峠付近にある休息所のあたりになるのでしょう。

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大雪湖。(昭和50年に大雪ダム建設のために作られた人造湖。面積292ha)
大雪ダム。(洪水調節、灌漑上水用、発電用多目的ダム)

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ダムを通り過ぎた先のT字路を左に行きます。

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少し行くとトンネルが。

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トンネルを抜けてここまで来ると層雲峡が見えてきます。
層雲峡は旭川から約66㎞の地点にあります。

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層雲峡は上川郡(大雪山国立公園を挟んで旭川側)にある温泉郷です。

杜綱悟の襲撃に備えて、町まで降りずに沢の近くで野宿。
この場所が「旭川75キロ」の地点。
となると、イズナとともに杜綱悟の体内に入り、婢妖・血袴と戦ったのは大雪ダム付近の河原、ということになります。

そして獣に変わり始めた潮君は、国道を一直線に突き進みカムイコタン(神居古潭)に向かいます。
この国道というのは、大雪山国立公園内を通る「国道273号線(上士幌~糠平湖~三国峠~層雲峡近辺を通過)」から続く「国道39号線(層雲峡~旭川駅前~神居を通過)」と、神居古潭の近くを通る「国道12号線」のことでしょう。

ノースライナー・三国峠経由はJR帯広駅前を出発して、国道273号線、国道39号線を通過してJR旭川駅に向かいますので、これに乗れば旅の一端を体験できるというわけですね!

実際に訪れてみるまで、潮君たちが野宿した場所は黄金道路に近い場所、十勝・帯広近辺かと思っていました。
道路や農地の一角にテントを張っていたのかと。
実際に巡ってみると楽しいですね。
うしおととらの北海道編では現地を取材されていたそうですが、このあたりも行かれたのでしょうか。
うしおととら全集の白面戦タイムスケジュールのメモからも伝わりますが、かなり細かな部分まで練ってお話を描かれたのでしょうね。

さて。
国道を疾走していく潮君。当然行く手には町があります。

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というわけで。
JR旭川駅に到着です。

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JR旭川駅と言えば、原作で檜山勇ちゃんと鷹取小夜さんが到着した駅になります。
(アニメ版では旭川空港で全員集合していました)
20年の間に駅舎は改修されたようですが、現在も横に長い建物と広いロータリーを備えています。
バスターミナルとタクシー乗り場、そしてベンチを備えた広い歩道。
ヘリコプターも離着陸できそうです。

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勇ちゃん、小夜さん、紫暮さんはこの駅から車で神居古潭へ。
そして、麻子ちゃん、真由子ちゃん、礼子さんは旭川空港で鏢さんと合流後、神居古潭に向かいます。
JR旭川駅から神居古潭までは路線バスで30分~。
この先もかなりの移動です。

路線バスも終了したので、神居古潭はまた今度。

駅前のこの空は、大量の婢妖が飛んでいったあの空なのかもしれませんね。

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うしおととら第二十一章「変貌」其の四 婢妖襲来の右寄りに描かれているバスの行先が「旭7 留萌」となっています。
この路線が現在の北海道中央バス留萌線で、神居古潭に向かうバスだと思うのですが…実際のところはどうでしょう。
これも次回の楽しみですね。

この日は旭川に宿泊。
そして6日の早朝3時8分に平成30年北海道胆振東部地震が起こりました。
旭川は震度4。発生後しばらくして全域停電となりました。


北海道と地名で呼べばたった一つの土地ですが、これまで旅した道のりを思えば、想像を絶する規模ですね…。
今回の旅はこれにてお終い。
現地の方々のご厚意に預かり、翌日予約していた飛行機で羽田まで飛びました。
どうかこれ以上の災害が起こらず、一日も早く落ち着いて、皆様の日常が戻りますように。
ありがとうございました。