うしとら旅巡り

旅と「うしおととら」が好き。

南部曲がり家

曲がり家とは、東北地方を中心として江戸時代から明治時代にかけて建造された上級農民の家屋です。

大まかなつくりは図の通り(岩手県・伝承園の図説より)。

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曲がり家の間取り

*伝承園、ふるさと村で撮影した複数の家屋写真を使用していきます。

まずは外観。
鎌鼬兄妹の棲む家です(遠野ふるさと村)。

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曲がり家外観

家の角から見てみます。
手前から奥に向かって、「おもてざしき」「ねべや」「ちゃのま」の並びどの部屋からも縁側に向かうことができます。

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母屋外観

厩と母屋の曲がり角。正面は「ちゃのま」。左側が入口になります。

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厩と母屋の曲がり角

入口をくぐって正面、もしくは左側が「うまや(厩)」になります。
*写真は実際に使用されている、「大野どん(遠野ふるさと村)」の厩です。

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入口

入口をくぐって右側が「どま(土間)」になります。
まずは全景。
…靴箱諸々の存在が風情を壊してちょっと残念…。(´・ω・`)
正面の戸の奥が「だいどころ」、柱の奥が「ながし」、かまど神のお面の下が「馬用のかまど」。
*写真は最初の図に描かれている「旧菊池家住宅(伝承園)」。

 

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土間

「馬用のかまど(馬釜)」。
馬の飼料を温めるための竃で、蚕の繭もここで煮ました。
冬の厳しい寒さから馬を守る暖にもなります。
煙は周囲をいぶしながら天井の隙間から出てゆきます。
防虫防腐の効果が得られて家も長持ちしたそうです。
*写真は遠野ふるさと村の家屋です。

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馬釜

馬釜の上の天井は高い。

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天井

「じょうい(常居)」。
囲炉裏は煮炊きをする場所であり、暖をとるための場所でした。
縁に腰かけて足を温めるための木枠が内側についています。
写真は「ちゃのま」から見た常居。

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常居

「おもてざしき(表座敷)」縁側から見た「おもてざしき」です。
光がよく入る畳部屋。

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表座敷

「おくざしき(奥座敷)」。
そこはかとなくほの暗い小部屋。戸を開けると「ねべや(寝部屋)」を挟んで常居が見える |ω・)

 

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奥座敷

「ねべや(寝部屋)」常居と奥座敷にはさまれた狭い寝室。
奥座敷と寝部屋は旧菊池住宅の写真です。

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寝部屋

寝部屋を抜けると土間と台所。
再び土間に下りて裏口へ。外に出て振り向くと、軒下にはまきがたくさん積まれていました。

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裏手

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軒下の薪

南部曲がり家のつくりには、トイレとお風呂がついていません。別棟として外にあります。
入浴頻度は週に2、3回。一人がやっとの桶風呂です。(´・ω・`)寒そう…。

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風呂場

細部は家屋によって異なります。

うしおととらが招かれた鎌鼬が棲む場所は、「遠野の近く」とぼかされていましたが、TVアニメ版では「くりこま山中」と具体的な地名を出してきました。原作者が監修されているので、こちらが正解でよいのでしょう。
東北地方の地図を眺めると、遠野の斜め左下に「栗駒国定公園」と書かれています。